2007年3月13日、JRの大都市近郊区間の特例制度(通称は大回り)を利用して関西一円をぐるりと回る旅をいたしました。このホームページは旅の備忘録です。同時にこれから旅立つ方への参考になれば幸甚です。特に料金関係はきっちり詰める必要があります。なまじ乗車距離が長い分だけ間違えると大変なのです(笑)。
「大都市近郊区間」を「大回り」で旅をするってどういうことでしょう。それはこういうことです。まず隣の駅まで切符を買います。そしてその駅がある方角とは反対行きの電車にのる旅なのです。それじゃあ目的地に着かないですね。でも、ものすごく大回りをすれば目的に着くことは可能です。例えば大阪から新快速で京都に向かうのに、和歌山・奈良・琵琶湖経由でも可能です。ほらね「大回り」しているでしょう。人によっては「時間の無駄」に思えるかもしれません。確かに電車を移動するための便利な道具と考えれば、無駄以外のなにものでもありません。でも、旅の一部、あるいは旅そのものだと考えれば全く無駄にはならなくなります。むしろお金をかけずに1日中遊べる素敵なツールになっちゃうのです。
例に引くのは関西地区のケースになります。理由は私が関西人だからであり、他の地区で大回り乗車をしたことがないからです。
それでも信用できないぜという方もごく少数ながらお見えかもしれません。常識的に考えて「そんなはずはないだろう」ですものね。私もわずか200円未満で近畿2府4県(あるいは2府3県)を回れるなんて、全く信用できませんでした。そんなアナタのために「JR東日本」のHPから説明文を引用してみましょう。
●大都市近郊区間内のみをご利用になる場合の特例これで信用していただけたかと思います。あー、これでこそ説明したかいがあったというものだ。よかったよかった。
● 図のそれぞれの大都市近郊区間内のみを普通乗車券または回数乗車券でご利用になる場合は、実際にご乗車になる経路にかかわらず、最も安くなる経路で計算した運賃で乗車することができます。
● 重複しない限り乗車経路は自由に選べますが、途中下車はできません。途中で下車される場合は、実際に乗車された区間の運賃と比較して不足している場合はその差額をいただきます。
JR東日本−JR東日本:きっぷに関するご案内 http://www.jreast.co.jp/kippu/1103.html
※着色(マーキング)は管理人が行いました
信用していただけたのは良いのですが、「差額」には注意してください。「大回り」というくらいですから、まかりまちがうと大変な金額になるのは想像するに難くないと思います。くれぐれもご注意ください。もちろん管理人は関知いたしませんので、あしからず。
「差額」にはもう一つの意味があります。失敗した時に切符代を差し引いて請求される大きな額もそうですが、(あくまでルールを遵守した前提で)出発駅の一つ手前よりさらに手前で下車した場合にも差額が発生します。例えば出発駅が奈良県の五条駅・到着駅が高田駅・大回り方向は五條から和歌山・・・というルートでは、五條−高田間480円から五條で購入した1区間分140円を差し引いた340円を請求されることになります(たぶん)。まあこれぐらいの少額なら問題ないかもしれませんが、極端な話、滋賀で降りたらちょっとした金額になると思います。自宅の最寄り駅から普通に出発する場合は気にする必要はありませんが、用事で出向いた駅を出発駅にしたり、友達宅の最寄り駅を到着駅にしたりなんてことになれば「ノー!!」なことになるかもしれません。くれぐれもご注意あれ。
上に貼りつけてある「大阪近郊区間」の画像をご覧ください。そして兵庫県の尼崎に注目してください。尼崎から西のルートをご覧いただければ、三角形になっているのがお分かりいただけると思います。つまり尼崎は3つある頂点のうちの1つです。だから1度尼崎を通ってしまうと、2度目は「同じ路線を重複」することになります。すなわち通れないというわけ(尼崎トライアングル)。
「尼崎トライアングル」を回避する手段は2つあります。1つは尼崎を挟んで1つ向こうの駅と手前の駅を始発駅と終着駅にしてしまうことです。もう1つの方法は、そもそも兵庫県を回らずにパスしてしまうこと。後者の場合、あっさりと妥協してしまうことになります。でも、そうすることで時間的に余裕ができるため、余裕をもってスケジュールを組むことができます。といっても、改札を出られないのですけれどね。写真に力を入れたい人には、明るい時間をたくさん確保できるのはイイことかもしれません。
予め尼崎近辺(大阪の梅田とか)にアプローチしておいて取りかかるというスタイルも素敵です。かくいう私も1度はそうやって取り組まないといけないと思っています。そういう意味では尼崎市付近にお住まいの方に嫉妬を感じてしまいます。
おまけになりますが、「大阪近郊区間」にはもう1つのトラップがあります。それは滋賀県・湖西線の永原駅です。これは時刻表をご覧いただいたほうが早いでしょう。この駅は日中の本数がとにかく少ないのです。だから、お昼に到着してしまうと、延々数時間もホームで電車を待つことになります。本でも持参していれば良いのですが、何もないとなると大変に違いありません。もちろん途中で改札を出ることはできないので、琵琶湖まで散歩することもできません。このルートを通る際は必ず接続を確認するようにしましょう。永原をルートに組み入れた場合、予定通り「永原越え」をした瞬間に勝負は「半分」ついたも同然の気持ちになりますよ。
お住まいの地域やスタート・ゴール駅によりますが、160円とか170円で1日遊ぶことも可能です(飲食費別)。大阪から和歌山に直帰しないで、「今日は時間があるから京都経由で帰ろうか」なんてマニアックな発想が浮かぶかもしれません。ネットで「大回り乗車」や「大都市近郊区間」あたりのキーワードで検索してみると、先達のリポートがたくさんヒットします(私のも含まれていると思います・・・たぶん)。出発前に拝見してモチベーションを高めまくってくださいませ。このページをご覧の方は、検索でお越しの方だと思いますので、これは言わずもがなかもしれませんね。
長々と書きましたが、基本ルールは野球よりも簡単です。むしろ時間をひねり出すほうが難しいくらいです。予定が無くてぽっかりと1日空いてしまったなんて場合に「大回り」の電車旅に出発なさってはいかがでしょうか。
2007年3月
自走式拝